プレスリリースより抜粋します。

『理化学研究所(理研)開拓研究本部柚木計算物性物理研究室の金子竜也基礎科学特別研究員、柚木清司主任研究員、計算科学研究センター量子系物質科学研究チームの白川知功客員研究員、サンドロ・ソレラ客員研究員の研究チームは、モット絶縁体[1]にパルス光を照射することにより、「ηペアリング状態[2]」と呼ばれる珍しい超伝導[3](ηペアリング超伝導)が生じ得ることを、スーパーコンピュータ「京」[4]などによる計算機シミュレーションをもとにして理論的に予言しました。

本研究成果は、非平衡状態[5]のダイナミクスで現れる光誘起現象[6]の新たな側面を明らかにしたのみでなく、現在さまざまな場面で利用されている超伝導の応用の可能性をさらに広げるものとして期待できます。

ηペアリング状態は、30年前に純粋な数学的議論により提案されました。しかし、この状態は励起状態であり、しかも励起状態は数多く存在するため、実験的に実現することが難しく、これまでは数学の世界で現れる“虚像”と考えられてきました。

今回、研究チームは、モット絶縁体にパルス光を照射した場合の非平衡ダイナミクスを理論的に解析しました。その結果、光励起された状態でηペアリング状態が誘起されていることを明らかにしました。また、その背景に対称性に基づく美しい数理構造があることも指摘しました。

本研究は、米国の科学雑誌『Physical Review Letters』の掲載に先立ち、オンライン版(2月22日付け:日本時間2月23日)に掲載されます。』

出典:http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190223_1/