東京大学大学院新領域創成科学研究科、同マテリアルイノベーション研究センター、パイクリスタル株式会社の共同研究グループは、タダ同然の高性能有機半導体からRFID用集積回路を開発しました。

以下プレスリリースより抜粋します。

発表のポイント

◆ナノスケールの厚さしかない極薄高性能有機半導体単結晶膜から、RFIDタグ(注1)などに必要な低消費電力の補償型集積回路を作製することに、世界で初めて成功しました。
◆極薄なので、材料利用効率が極めて高いうえ、大面積の単結晶膜を自己組織化によって簡単に形成できるため、面積当たりのコストはシリコンの1000分の1程度となり、基板フィルムなどの他の材料と比べて、半導体の値段はタダ同然と言えるほど安価です。
◆RFIDタグやトリリオンセンサ(注2)など、IoT社会に必須の超安価なフィルムデバイスの大量供給に道を拓くことが期待されます。

発表概要

 東京大学大学院新領域創成科学研究科、同マテリアルイノベーション研究センター、パイクリスタル株式会社の共同研究グループは、タダ同然の高性能有機半導体からRFID用集積回路を開発しました。  
 RFIDタグやトリリオンセンサなど、IoT社会の発展には、個体識別やセンサシグナルをデジタル処理して、無線伝送する、超安価なデバイスの大量供給が必要とされます。この点で、現状のシリコン半導体回路の同一品種量産化によるアプローチに対する限界が指摘される中、多品種少量生産も可能な新規半導体材料による安価な集積回路の実現が期待されていました。
 今回、本研究グループは、分子2層分程度の厚さしかない極薄有機半導体単結晶膜から、低消費電力の補償型集積回路を作製する技術を開発しました。特に、RFIDなどに必須の個体認識シグナルを形成するデジタル回路を1 cm2程度の大きさのフィルム上に構成しました。このシステムは、6ビットカウンターなどを含む1,000トランジスタ程度から成り、32ビット即ち40億個のIDを識別します。
 有機半導体単結晶膜の厚さが、電子が伝導する厚さと同等であるため、材料利用効率が極めて高いうえ、ウェーハスケールの単結晶膜を自己組織化によって簡単に形成できるため、面積当たりのコストはシリコンの1000分の1程度となり、基板フィルムなどの他の材料と比べても、タダ同然の半導体と言えます。
 本研究成果は、東京ビッグサイトにおいて、2019年1月30日から2月1日まで開催されるJ-FLEXで実デバイスの展示とともに発表され、同年3月第66回応用物理学会春季学術講演会でも講演が予定されています。

出典:http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry715/