国立研究開発法人海洋研究開発機構の土井威志研究員らは、極端に強いエルニーニョ/南方振動現象やインド洋ダイポールモード現象の発生を、数ヶ月前から高精度に予測するシステムを開発しました。

これらの現象が発生すると日本を含む世界各地で季節的な異常(例えば、猛暑、暖冬等)が引き起こされるため、極端に強い現象を高精度に予測することは、社会・経済的な視点でも非常に重要です。

プレスリリースによると、本研究では、「SINTEX-F季節予測システム」を発展させ、予測シミュレーションされるパラレルワールドの数を約10から約100まで増やした結果、発生頻度が稀ではあるが極端に強いENSO現象やインド洋ダイポールモード現象の発生を、数ヶ月前から高精度に予測することに成功しました。また、地球全体の極端な渇水イベントを約半年前に予測する精度を検討した結果においても、本システムでは予測精度が向上していました。単一の気候モデルを基盤として、100程度のパラレルワールドを創出する季節予測システムで、過去に発生したイベントの予測精度を検証したのは、世界初の試みです。この膨大な計算は、「地球シミュレータ」の性能を駆使することで実現できました。このシミュレーションで得られた知見は、今後の数値季節予報システムの戦略的な開発に生かされることが期待されます。

この成功を契機に、多数のパラレルワールドを有する予測結果を包括的に解析し、新しいプロセスの発見や、新しい予測シグナルの抽出等を実施し、気候予測研究を発展させると共に、極端な気候イベントの予測情報を基盤としたアプリケーション研究を展開し(例えば農作物予測や感染症予測)、人々の安全・安心に資するために、社会の活動に具体的に貢献することを目指していくとのことです。

出典元:http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20190124/