【発表のポイント】

  • 河川水中の放射性セシウム濃度は1リットルあたり1ベクレルを下回っていることが各種モニタリング結果から判明しているが、その範囲内で具体的にどのように濃度が変化しているかは明らかになっていなかった。
  • 平成27年4月から平成30年3月までの継続調査の結果、事故から7年経過した現在も、河川の放射性セシウム濃度は減少し続けていることが分かった。
  • その減少速度はセシウム137の物理的半減期による減少速度のおよそ10倍である。
  • この結果は、陸上に沈着した放射性セシウムが時間とともに地中に移動することによって、河川へ流出しにくくなっていることを示唆している。
  • 河川を利用するにあたっての安全・安心に貢献するため、今後も観測を続けていく。

概要】

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (理事長 児玉敏雄、以下、「原子力機構」という)福島研究開発部門 福島研究開発拠点 福島環境安全センター 放射線監視技術開発グループの中西貴宏研究副主幹らは、福島県南相馬市の太田川、同浪江町の請戸川における平成27年春から3年間にわたる毎月の調査によって、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下「1F」)の事故に由来する河川水中の放射性セシウム濃度が、事故後4~7年経過しても減少し続けていることを明らかにしました (図1) 。

 河川水に含まれている放射性セシウムには、水に溶けているセシウム(「溶存態セシウム」)と河川水中に浮遊している土の粒子に付着しているセシウム(「懸濁態セシウム」)がありますが、どちらのセシウム137濃度も、平成27年4月から平成30年3月にかけて、物理的な半減期(30年)のおよそ10倍の速度で減少していました。また、夏期には溶存態セシウムの濃度が高くなりますが、年がたつにつれてその上昇幅は小さくなっていきました。本研究の結果は、河川を通じた放射性セシウムの移動の実態解明、将来予測につながることが期待されます。

 本研究成果は、環境科学の専門誌である「Chemosphere」に掲載されました。

詳細:https://www.jaea.go.jp/02/press2018/p19011802/