ポイント

  • 強酸に対して,可逆的に色が変化する安定な水素結合性有機フレームワークの構築に初めて成功。
  • 結合の弱い水素結合で構築されたフレームワークでも,熱的・化学的に安定な多孔質材料を構築。
  • 内部空間での物質吸蔵と外部刺激応答性などを併せ持つ複合機能有機多孔質材料への応用に期待。

概要

北海道大学電子科学研究所の久木一朗准教授,中村貴義教授,大阪大学大学院工学研究科の藤内謙光准教授及びカスティーリャ・ラ・マンチャ大学(スペイン)の Abderrazzak Douhal (アブドルザク ドウハル)教授らの国際共同研究チームは,塩酸などの有害な強酸の水溶液や蒸気に対して,色や蛍光*1 発光の ON/OFF が変化する外部刺激応答性の有機多孔質材料「水素結合性有機フレームワーク(HOF(Hydrogen-bonded Organic Framework))*2」の開発に成功しました。この HOF は,カルボン酸*3 の水素結合*4 という弱い力で分子をつなげて構築したにもかかわらず,優れた耐熱性をも有します。

開発した HOF は,1g あたり 379 m2という中程度の BET 比表面積*5を持ち,大気中で少なくとも360 ℃までその構造を維持できます。また,通常は水素結合を切断してしまうようなアルコールや濃塩酸にひたして加熱した後でも,乾かした後は元の構造に戻るなど,従来の HOF と比べ著しく安定した材料であることがわかりました。さらに,開発した HOF は,強酸にさらす(曝露する)と,黄色から赤茶色へと即座に変色し,同時に黄緑色の蛍光発光も消光*6 して観測されなくなります。原因となる酸を除去すると,蛍光発光性を示す元の黄色固体へと可逆的に戻ります。

これは,酸に応答する HOF の初めての例であり,内部空間での物質吸蔵と外部刺激応答性などを併せ持つ複合機能性の有機多孔質材料の開発に大きく貢献するものです。

なお,本研究成果は,2019 年 1 月 7 日(月)公開のアメリカ化学会誌 Journal of the American Chemical Society 誌にオンライン版として掲載されました。

詳細:https://www.hokudai.ac.jp/news/190118_pr2.pdf