ポイント

  • 自己生成される有機酸を活用した水熱処理で、前処理の加熱エネルギーを最大で80 %以上削減
  • 薬剤処理、粉砕処理を用いずに、水熱処理のみで木質バイオマスの糖化率90 %以上を達成
  • 糖製造コストを大きく削減し、バイオマス由来化成品の開発・普及に貢献

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)機能化学研究部門【研究部門長 北本 大】バイオベース材料化学グループ 藤本 真司 主任研究員は、木質バイオマス(広葉樹)からの糖製造の水使用量を削減すると同時に、糖化率を大幅に改善する技術を開発した。

木質バイオマスからの糖製造では、一般的に前処理酵素糖化が必要であり、さまざまな前処理が研究されてきた。その中で水と熱しか用いない前処理である水熱処理は、環境負荷が小さいという利点がある一方で、大量の水を使用するという問題があった。さらに、水熱処理単独の前処理では糖化率が低いため、薬剤処理(薬剤法)や粉砕処理(水熱・メカノケミカル法)が必要な場合もあり、糖製造コストを増加させていた。今回開発した技術では、従来の水熱法と比べ、水使用量を9割程度減らすことで加熱エネルギーを最大で80 %以上低減するとともに、自己生成される有機酸の効果により、水熱処理単独の前処理にもかかわらず90 %を超える糖化率を達成した。その結果、薬剤処理や粉砕処理が不要なので主要なランニングコストを70 %以上削減できた。この技術は、木質バイオマスから糖化を経て合成される化成品の開発・普及への貢献が期待される。

この技術の詳細は、2018年12月刊行の学術論文誌に掲載された(Fujimoto et al., Bioresource Technology Reports, 4 (2018) 16-20)。また、2019年1月16~17日に広島県東広島市で開催される第14回バイオマス科学会議でも発表される。

詳細:https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2019/nr20190111/nr20190111.html