ポイント

  • 成膜後の分散剤除去やドーピングなどの後処理工程が不要で、自在な膜厚制御が可能
  • 高温高湿環境への耐性、屈曲性や伸縮性に優れ、多様な基材と多様な成膜技術に適応可能
  • 金属粒子に匹敵する20,000 S/cmを達成し、プリンテッドエレクトロニクスなど幅広い応用に期待

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)電子光技術研究部門【研究部門長 森 雅彦】分子集積デバイス研究グループ 周 英 主任研究員、同部門 阿澄 玲子 副研究部門長らは、分散液を塗るだけで高導電率・高耐久性のカーボンナノチューブ(CNT)透明導電膜を作製する方法を開発した。

CNT透明導電膜は、タッチパネルや太陽電池の電極から、今後発展が期待されるフレキシブルデバイスやウエアラブルデバイスに至るまで、さまざまな電子機器の部材として有望であるが、既存の塗布技術ではCNTの分散とCNTへのドーピングをそれぞれ行うことが要求され、また成膜後に絶縁性の分散剤を除去する必要があるため、工程が多くプロセスが煩雑で、成膜できる基材も限られていた。ウエットプロセスで作製できるCNT透明導電膜の特徴を最大限に活用し、これまでの成膜プロセスの限界を超えた幅広い用途に応用するには、高品質な膜の簡単で効率的な製造法の開発が課題であった。今回、わずかな量でCNTの分散剤とドーパントの両方の機能を示す高分子酸を用い、CNTの分散液を基材に塗布するだけで高導電性のCNT膜を作製する技術を開発した。この技術により、高品質なCNT透明導電膜の製造プロセスが大幅に短縮されるだけでなく、曲面や管の内面といった多様な基材上への成膜にも対応できる。また、溶剤は水やエタノールなど環境に優しいものから選択できるうえに、数nmの極薄膜から数十μmの厚膜まで大面積膜を均一に成膜できるため、幅広い分野での応用が期待される。

この成果は英国王立化学会の学術論文誌Nanoscaleに2019年1月9日(イギリス標準時間)に掲載された。

詳細:https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190111/pr20190111.html