発表者:

飯田 哲史(東京大学定量生命科学研究所 ゲノム再生研究分野 助教)

小林 武彦(東京大学定量生命科学研究所 ゲノム再生研究分野 教授)

雑誌名:

「Molecular Cell」

日本時間 1 月 4 日(金)午前 1 時(米国東部時間:1 月 3 日(木)午前 11 時)

発表のポイント:

  • 本研究成果は、細胞が遺伝子のコピー数を数え安定数を維持する仕組みを持っていることを初めて明らかにしました。
  • タンパク質合成に多量に必要なリボゾーム RNA 遺伝子のコピー数を数える因子 UAF を発見し、減少したリボゾーム RNA 遺伝子のコピー数を適正なコピー数に回復する長寿遺伝子 SIR2 を介した機構を明らかにしました。
  • リボゾーム RNA 遺伝子を安定に維持する仕組みは、細胞の機能を正常に保つ上で最も基本的なメカニズムの1つであり、今後細胞の老化やがん化の解明につながると期待されます。

発表概要:

私たちヒトを含めた生物の細胞は、さまざまなタンパク質を合成することで細胞の機能を維持しています。そのためタンパク質合成を担うリボゾーム(注 1)を大量に安定供給することは、全ての細胞にとって非常に重要です。それには、同じ遺伝子が多数連なった反復遺伝子であるリボゾーム RNA 遺伝子が(注 2、3)、安定に保持される必要があります。しかし、減少しやすい性質を持った反復遺伝子のコピー数を、細胞がどのように一定に保っているのかは長い間謎でした。

今回、東京大学定量生命科学研究所の飯田哲史助教と小林武彦教授は、長寿遺伝子として知られヒトにも存在する Sir2 タンパク質の量がリボゾーム RNA 遺伝子のコピー数に応答して変化する点に着目し、その発現調節機構を詳細に解析しました。その結果、UAF という因子がリボゾーム RNA 遺伝子のコピー数を数える機能を持っていること、減少したコピー数を適正な数に回復するのに UAF と Sir2 が機能していることが明らかとなりました。

今回我々は細胞が遺伝子のコピー数を数え調節する仕組みを持っていることを初めて発見しました。特にリボゾーム RNA 遺伝子のコピー数の変動は、老化やがん化と関係があり、本研究成果は、それらの予防や治療につながる基礎研究となります。

詳細: