【研究成果のポイント】
♦ 非凍結結晶を安定に保ってX線結晶構造解析を行うことにより、天然に近い状態での酵素タンパク質の構造変化を明らかにした。
♦ 結晶温度を精密にコントールすることにより、酵素が働くときに起きる構造変化の熱力学解析に世界で初めて成功した。
♦ 結晶内でのタンパク質の動きは細胞内での挙動に近いことが判明した。

 大阪大学産業科学研究所岡島俊英准教授、大阪医科大学 村川武志助教、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI) 馬場清喜主幹研究員、理化学研究所 河野能顕専任技師らの研究グループは、銅アミン酸化酵素※1の触媒反応の際に起こる構造変化を大型放射光施設SPring-8※2BL38B1での実験により精密に解析することに成功しました。今回の研究成果は、Humid air and glue-coating method (HAG法)※3を利用し、厳密に温度制御された非凍結結晶のX線結晶構造解析※4を行うことにより達成され、従来の凍結結晶を用いる方法では見ることができない“生きた状態”の構造変化を観察することに成功しています(図1)。
 特筆すべき成果として、結晶の温度を変化させることにより、構造変化にともなう熱の出入り(エンタルピー変化)やミクロの乱雑さの変化(エントロピー変化)といった熱力学的測定を世界で初めてタンパク質結晶のまま行うことができました。さらに、このような熱力学的解析から、結晶内でのタンパク質の動きは、希薄な水溶液中よりも、多くのタンパク質が高濃度で存在する細胞内の状態に近いことがわかり、結晶構造解析の意義を再確認することになりました。
 本研究成果は、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」(オンライン)に、12月19日(水)(日本時間)に掲載されました。

掲載誌
雑誌名:「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」(オンライン)
タイトル:“In crystallo thermodynamic analysis of conformational change of the topaquinone cofactor in bacterial copper amine oxidase
著者名:Takeshi Murakawa, Seiki Baba, Yoshiaki Kawano, Hideyuki Hayashi, Takato Yano, Takashi Kumasaka, Masaki Yamamoto, Katsuyuki Tanizawa, and Toshihide Okajima

詳細:http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2018/181220/