量子力学の法則に従う小さな粒子が互いに相互作用しあうような系を量子多体系と言います。例えば、電気抵抗が0になる超伝導現象や磁石を生み出す強磁性は、電子が互いに相互作用しあうことによって発現する量子多体現象です。そのため、量子多体系の性質の解明は、身の回りの物理現象の説明に欠かせません。性質解明のために、これまでに様々な数値計算手法が提案されてきましたが、多体現象の完全解明には至っていません。そのため、新たな強力な手法開発が大きな課題の一つとなっています。
フラットアイロン研究所(アメリカ)のジュゼッペ・カルレオ研究員および東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の野村悠祐助教、今田正俊教授の研究グループは、機械学習の関数を用いた新たな数値計算手法を提案しました。人工ニューラル・ネットワークの一種である深層ボルツマンマシンを用い、量子多体系の基底状態を任意の精度で表現できることを示しました。得られた基底状態を表現する深層ボルツマンマシンをもとにして多体系の数値シミュレーションを行うことにより、量子多体系の性質を調べる事ができます。この結果は、量子多体系の数値計算手法において、新たな局面を切り開く成果と言えます。
本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版(ロンドン時間:12月14日付)に掲載されました。