理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発生体工学材料研究チームの上田一樹研究員、伊藤嘉浩チームリーダー、埼玉大学工学部の廣瀬卓司教授らの共同研究チームは、両親媒性ポリペプチドとリン脂質を共集合させることで、温度に応じて内包分子を放出できるナノカプセルの開発に成功しました。

本研究成果は、がん治療をはじめとするさまざまな薬剤体内輸送用カプセルや有機反応・生物反応の効率を高めるナノリアクターへの応用が期待できます。

リポソーム[はリン脂質二重膜の人工カプセルであり、これまでさまざまな膜機能が解明されてきましたが、構造的に不安定であるという問題がありました。

今回、共同研究チームは、疎水部にαヘリックス構造を持つ両親媒性ポリペプチドとリン脂質を共集合させ、直径75ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)の球状ナノカプセルを作製しました。この共集合ナノカプセルは、ペプチド膜とリン脂質膜が相分離[した構造をしています。そのため、「構造安定性や形状均一性」といったペプチド集合体としての機能と、「温度に応じて相転移を起こす」というリポソームとしての機能を併せ持っています。実際に、相転移温度(38℃)以下でこの共集合ナノカプセルに分子を内包させ、それを38℃以上に加熱したところ、リン脂質膜のゲートから内包分子が放出されることが示されました。

本研究は、米国の国際科学雑誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載されるのに先立ち、オンライン版に近日掲載予定です。

詳細:http://www.riken.jp/pr/press/2018/20181210_1/