科学技術振興機構(JST)によると、東京大学生物生産工学研究センター 柳澤教授 研究グループは、植物の成長に必要な光成分のうち赤色光が、根からのリン栄養の吸収を促進させることを発見しました。モデル植物であるシロイヌナズナの野生系統は遺伝情報に多様性を持つことから、栄養吸収能力が異なることが期待されます。そこで、シロイヌナズナの野生系統(200系統)のリン栄養吸収のイメージング解析をリンの放射性同位体を用いて行い、2つの野生系統(Lm-2とCSHL-5)のリン栄養の吸収能力が顕著に低いことを見いだしました。これらの野生系統では赤色光を感知する光受容体であるフィトクロムBの活性が低下していること、また、標準的なリン栄養吸収能力を示した野生系統であるCol-0においてもフィトクロムB遺伝子を破壊するとリン栄養吸収能力が著しく低下することを見いだして、フィトクロムBを介してリン栄養の吸収が調節されていることを明らかにしました。さらに、芽生え全体、あるいは、芽生えの地上部あるいは地下部のみに赤色光を数時間照射してリン栄養の吸収能力の変化を調べ、葉に照射される光が根におけるリン栄養の吸収を促進することを明らかにしました。この成果は、赤色光を強化した光の使用による農業生産の増大方法の開発やリン栄養の吸収能力の高い作物品種の作出などの契機となることが期待されるとのことです。

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