プレスリリースより抜粋します。

研究成果のポイント 

  1. マラウィにおいて、1%ポイントの森林面積の減少が、安全な水のアクセスを約1%ポイント減少させること、過去10年間の森林伐採(14%)が安全な水へのアクセスに与えた影響は、現在の降雨量の 9%の減少と等しいことを示しました。
  2. 世帯調査データの GPS 情報と、衛星による過去からの土地使用データ、衛星気象データを用いて、各世帯の半径 7.5km以内にある森林面積と降雨量を定量化し、統計的手法を用いて因果関係を同定した成果です。
  3. 本研究は、途上国において飲み水に対する森林の影響を明らかにしているだけでなく、将来の気候変動に備えた森林の重要性を示しています。

国立大学法人筑波大学 人文社会系  内藤久裕准教授と本学の修士課程の卒業生でありマラウィの天然資源省の職員であるAnnie Mapulanga氏の研究チームは、世帯データのGPS情報と衛星データを用いて、世帯の半径7.5km以内にある森林伐採と降雨量が、安全な飲み水へのアクセスにどの程度の影響を及ぼすかを、世界最貧国の一つであるマラウィのデータを用いて定量化しました。

サブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南)に位置するマラウィは、世界最貧国の一つであり、過去およそ30年間大規模な森林伐採の被害の真っ只中にあり、その社会経済的影響に世界的な関心が高まっています。これまでの水理学、森林学のデータでは、森林伐採は、河川の水量を増加させ、水へのアクセスを減らすことはないと議論されてきました。本研究グループは、世帯調査のGPS情報と衛星データによる森林データ、降雨量データ、家計データをマッチさせることによって、各世帯の半径7.5km内の森林面積の減少と降雨量の変化が、安全な水へのアクセスにどれほど影響を与えるのかを検証しました。

その結果、1パーセントポイントの森林面積の減少が、安全な水のアクセスを約1パーセントポイント減少させること、また過去10年間で経験した森林伐採による安全な水へのアクセスへの影響は、降雨量の9パーセントの減少と等しいことも示しました。このことは、森林が将来の気候変動への備えに、重要な役割を果たしていることを示しています。

本研究の成果は、2019年3月25日(日本時間26日午前4時)付「全米科学アカデミー紀要」で公開されました。

本研究は、日本政府と世界銀行の支援で行われました。 

出典:http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201903282000.html